大統領選挙もついに来月へと迫ってきました。また10月31日、11月1日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を開催しまよね。ですので選挙のゆくえと次回FOMCでの利下げ有無についてもここ最近は連日ニュースになっています。
そんな中でアメリカの現況についてを広瀬隆雄さんが発信されていました。
【9月24日】
①カマラ・ハリスが勝てば米国の財政はどうなる?
【9月25日】
②現代の「ホルムズ海峡」は台湾だ
【9月27日】
③アメリカのマーケット展望【2024年10月度】
【10月8日】
④雇用統計の結果
個人投資家にとって現在地を理解しておくのに役立ててもらえたらと思い、下記の4つの記事内容を1つにまとめましたのでシェアさせていただきますね。
ということで今回は「広瀬隆雄さんのアメリカのマーケット展望【2024年10月度】」についてです。
【この記事をみて分かること】
・米国の現況について
・FFレートとソフトランディング
・企業業績と半導体市場
・米国政府の台所事情
・カマラ・ハリス勝利時の米国財政
・短期の相場見通し
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米国の現況について
■GDP(国内総生産)
広瀬氏はインヴァスト証券サイト「アメリカのマーケット展望【2024年10月度】」の記事内でGDPのチャートを出しながら「米国経済は相変わらず好調」だと述べていました。
直近をGDPNowで予想値を確認しておきますが緑の線がGDPNowの予想です。2024年第3四半期の実質GDP成長率(季節調整済み年率)の予測は10月9日時点で3.2%となっています。
緑の線が上昇している点からも米国の経済は底堅いと予想していることが分かりますよね。ですので広瀬氏がいうように米経済は底堅く今後も上昇する可能性があるのではないでしょうか。
■雇用統計
10月4日に発表があった9月非農業部門雇用者数は予想14万人に対し結果25.4万人でした。この点について広瀬氏は「7月の数字も上方修正となっていて、雇用はまだまだ堅調であることが印象付けられた」と言っています。
■失業率
失業率については複数の記事で言及していましたので一番最新(10月8日)の記事より抜粋をしておきます。
失業率は予想4.2%に対し結果4.1%で、多くのエコノミストは失業率が4.2%を超えてくればここからは一気に事態が悪化し、失業率は5%めがけてスルスル上昇すると予期していましたが、実際に起きていることはその逆で失業率は下がっていたと広瀬氏は述べていました。
確かに失業率は下がる時はゆっくりで上がる時は一気に上がる性質がありますので今回の結果は多くの方に取ってサプライズだったのではないでしょうか。
■平均時給
平均時給は+13¢で、ちなみに7月の数字も+16¢に上方修正されている点からもつまり賃金はまだ上がり続けていました。
以上をまとめると米国の雇用市場はどっこい堅調で、暗転の兆しは見えてなく、それゆえトレーダーたちは(景気後退は避けられないと考えてきたけれど……どうやらそれは間違いだった)と思い始めていると広瀬氏は予想しています。
その証拠として次の11月7日の連邦公開市場委員回(FOMC)での利下げ幅のコンセンサス予想はこれまでの0.50%から0.25%へと縮小している点に言及をしていました。
では次章では11月の利下げ予想とソフトランディング有無について広瀬氏の見解をまとめておきます。
FFレートとソフトランディング
前章でもお伝えしましたが利下げ予想はこれまでの0.50%から0.25%へと縮小してきています。
実際にこの記事を作成している10月12日現在ではCMEフェドウォッチツールで市場予想を確認すると11月の利下げは25bpが95.6%で利下げなしが4.4%となっています。
この点は広瀬氏の記事にはありませんが10月10日に発表があったCPI(消費者物価指数)が予想+2.3%に対して結果+2.4%(コア予想+3.2%に対して結果3.3%)と上昇していましたことにより50bp予想はなくなり25bpか利下げなしへと変化をしているのだと思います。
そして広瀬氏はこれは9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で示された経済予想サマリー(SEP)でのコンセンサス予想が早くも(悲観的すぎた!)と解釈される可能性があることを示唆していると言っています。
一例としてSEPでは今年年末の失業率は4.4%となっているけれど……いま4.1%なのだからそれがどんどん悪化して4.4%になる可能性はかなり少ないと言わざるを得ないず、むしろ今回の雇用統計を素直に受け止めれば、それは(どうやらソフトランディングが起きている)という解釈にならざるを得ないと。
また利下げ待望論者からすればせっかく始まった利下げサイクルが早くも竜頭蛇尾に終わるのは物足りなく感じるかも知れないですが本来ソフトランディングというからには景気がしっかりしている関係で利下げの必要が無いと考えているとのことでした。
ですのでソフトランディングと利下げの両方をねだるという投資家心理は自己矛盾していると。
さらに株式市場は利下げが竜頭蛇尾に終わるシナリオを一旦嫌気すると思いますが、前回ソフトランディングしたときの株式市場は絶好調だったので今回もいずれ建設的な意見が増えると予想をされていました。
では次章では企業業績と半導体市場に言及をしていますのでその点もまとめておきます。
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企業業績と半導体市場
企業業績は好調で2024年のS&P500指数のEPSは242.21、2025年は278.41が見込まれています。このように今年も来年も普段より少し速いペースでEPSが伸びてゆくと見られていると広瀬氏は言っています。
またFactSetの10月4日レポートによると収益成長率は2024年第3四半期のS&P500種構成企業の推定(前年同期比)利益成長率は 4.2%となります。仮に4.2%が当四半期の実際の成長率であった場合は前年同期比で5期連続の増益とのことでした。
懐疑的な意見も散見されますがこのようなプラスの意見もあることは頭に入れておいていいのではないでしょうか。また広瀬氏はSBI証券の「現代の「ホルムズ海峡」は台湾だ」という記事で半導体市場について言及しています。
台湾は台湾セミコンダクタ(ティッカーシンボル:TSM)の存在が圧倒的に大きく、世界中の先端半導体の生産をほぼ独占している状況になっているとのこと。ちなみに韓国はサムスンが健闘していますが台湾セミコンダクタとの差は依然として大きいと言えます。
また米国はインテル(ティッカーシンボル:INTC)などが巻き返しを図っていますが、現時点ではシェアはごくわずかで、米国ではチップス法(CHIPS and Science Act)を成立させ先端半導体工場建設を助成するため520億ドルの予算を計上しています。
仮にいま米国で建設している先端ノードの工場がすべて完成し良好な歩留まりを示したとするとマーケットシェアは以下のようになると言っています。
・台湾: 約82%
・韓国: 約9%
・米国: 約9%
いま世界で起きている紛争ではドローン、AI、超音速ミサイル、人工衛星などの技術が駆使されていますがそれらは先端ノードが必要。それは言い直せば先端ノードを生産できる企業、それを可能にする技術はプレミアムで取引される可能性があることを示唆しているわけだと広瀬氏は言っていました。
先端ノードの工場を建てるにあたってはASML(ティッカーシンボル:ASML)が提供するEUV(極端紫外線)露光装置が不可欠です。回路パターンの微細化にはEUV露光装置が必須であり、ASMLはこの分野で事実上独占的な地位を築いています。
アプライド・マテリアルズ(ティッカーシンボル:AMAT)は、薄膜形成、エッチング、イオン注入など、半導体製造における様々な工程で使用される装置を提供しています。
東京エレクトロンは、コーター・デベロッパーや洗浄装置などの分野で高いシェアを誇っています。また、ラムリサーチ(ティッカーシンボル:LRCX)やKLA(ティッカーシンボル:KLAC)なども、エッチング装置や検査装置などの分野で重要な役割を果たしています。
先端ノードの工場建設は、多くの企業の協力によって初めて実現するものです。ASMLやアプライド・マテリアルズが特に重要な役割を果たしていることは間違いありませんが、他の企業の貢献も忘れていけないと仰っていました。
このようにAIブームについては継続していくであろうこともこの記事から読み取れるのではないでしょうか。ではチップス法などに関わる点になりますが来月に迫りました大統領選挙について広瀬氏が予想をしていますので次章でまとめておきますね。
米国政府の台所事情
この点については9月24日の楽天証券トウシルの記事「カマラ・ハリスが勝てば米国の財政はどうなる?」より抜粋していこうと思います。
大統領選挙の本投票日まであと1カ月程度になりましたが、現在のところ民主党の大統領候補、カマラ・ハリスが共和党の大統領候補、ドナルド・トランプをリードしています。
そろそろカマラ・ハリスが勝った場合にそれが米国の連邦政府の財政に与える影響について考えてみる必要があると広瀬氏はお考えでした。
まずその前に米国政府の台所事情の確認ですが、いまアメリカの財政赤字はGDP(国内総生産)の6.3%で比較として第2次世界大戦後の平均は2.6%でしたので普段より多いと言えるとのこと。
なぜ財政赤字が多いかと言うと選挙戦を有利に進めるために積極的な財政散布を行っていて、ドナルド・トランプが大統領だった2020年の選挙の年は米国の財政赤字はGDPの14.7%にも達していたようです。
だから民主党も共和党も選挙の年は同じような策を弄して選挙に勝とうとするわけで、2020年に財政赤字幅が大きかったもうひとつの理由は新型コロナの影響だあるとのこと。その後に2021年は12.1%、2022年は5.4%と順調にノーマルな状態へ戻してゆく途上にありましたが、今年は選挙の年なので民主党が財政出動した結果、また赤字が増えてしまったということでした。
カマラ・ハリス勝利時の米国財政
ではカマラ・ハリスが当選した場合はジョー・バイデンの経済政策を引き続き実施するが、言い直せば新機軸を打ち出すのは最小限にとどめると広瀬氏は予想されていました。
実際にハリスは法人税を現在の21%から28%に引き上げることを提唱。しかしそれには議会の承認が必要で上院は共和党優勢なので法案が可決される可能性は極めて低いと言っています。
なおトランプ大統領の時代(2017年)に成立した減税就労機会増加法(Tax Cut and Jobs Act)は5年間の時限法案で、カマラ・ハリスは一部の低所得者層を利する項目を除き、この法案を延長しないと見られています。
これとは別に子供のいる家庭に対する3,600ドルのタックス・クレジット、出産時の6,000ドルの一時金を提案。こうした一連の措置でハリスの政策は向こう10年間で米国の財政を1.7兆ドル圧迫し、それは財政赤字がGDPの5〜6%が常態化することを示唆しているとのこと。
(ちなみにトランプの財政予算面での公約がかりに実行された場合はその2倍近い赤字になると言われています。)
また彼女の考える経済政策を議会で可決させようと思った場合、たぶん上院は11月の選挙でも共和党が優勢となると思われることからいわゆるリコンシリエーションと呼ばれる立法手続きを利用することが予想されと言っています。
その場合「長期赤字幅を増加させるような法案は上程できない」という了解がありますが言い直せば大きなことは出来ないと広瀬氏は予想していました。
なお上で述べた下院が民主党、上院が共和党というシナリオは「ねじれ」常態という風に形容されますが、投資家はこの「ねじれ」を好む傾向があります。その理由は(なにも決まらないほうが財政的には大きな変化は出ないので見通しが立てやすい)からです。
大統領選挙の2年後、すなわち2026年は(そろそろ引き締めたほうがいいぞ)という心理が働きやすく財政出動は控えられ、赤字幅が縮まるのが常です。政府がお金をばらまかなくなるので何となく不景気感が漂うことが予想されると広瀬氏は仰っていました。
とここまで4つの記事から米国経済の現況について広瀬氏の見解をみてきましたが次章では最後に短期の相場見通しについてまとめておきますね。
短期の相場見通し
では最後にインヴァスト証券サイト「アメリカのマーケット展望【2024年10月度】」の記事内から広瀬氏の短期相場の見通しについてを抜粋しておきますね。
まずS&P500指数の向こう1カ月のターゲットは5,800と予想。
広瀬氏は9月3日のレーバーデー明けの米国株は用心深い取引で幕を開けましたがカマラ・ハリスとドナルド・トランプによる大統領候補討論会を境として再び騰勢に転じたと述べていました。また9月18日の連邦公開市場委員会では0.50%の利下げが発表され、政策金利は4.75〜5.00%のレンジとなっています。
連邦準備制度理事会はインフレの沈静化に伴い物価と政策金利の間の乖離がとても大きくなってしまっている状態を一気に詰めようとしていて、その背景には(早く動けば動くほど景気後退を回避できやすいに違いない)という心の動きがあると言います。
マーケットはこれを好感して、S&P500指数、ダウ工業株価平均指数は過去最高値を更新していて場味は良いと仰っています。ですが唯一、ナスダック総合指数のみが未だ7月10日の高値、18,671.07を奪還出来ていない点に言及されていました。
以上が広瀬氏の4つの記事をまとめたものになります。
現状では米国経済は底堅く、雇用統計データ次第で次回11月の利下げの有無が決定しそうな状況です。またソフトランディングへの期待も強まってきたのではないでしょうか。
11月にはFOMCと大統領選挙がありますのでその結果で現在は不透明となっているものがはっきりとすることで市場が大きく動く可能性があります。ですので雇用統計のデータと利下げの有無と選挙結果を確認しながら投資スタンスを再度、考えていこうと思います。
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