2023年はその中でもAIのベビーバブルやマグニフィセント・セブンが市場牽引役となり株価を押し上げてくれました。ですが2024年に入り状況は変わってきていて現在の米国マーケットをみていくとインフレを抑えるためにFBRが金利が高止まりさせる可能性があります。また完全に景気後退を回避ができたと断言できない状況ですよね。
そのため2024年は大きな株価上昇が期待できない可能性もあります。
もちろん利下げ開始やソフトランディング成功も可能性は出てきているので断言はできませんが不透明感があるのは事実です。ですのでどちらの可能性も考えうえでご自身の投資スタンスを検討しておくといいのではないでしょうか。
ですのでこのように不景気や株価の上昇が期待できない可能性がある時期に検討しておきたいのが高配当ETFでボラティリティが比較的に低くかつ安定して配当で直近のキャッシュを得ていける点はとても魅力になります。
この機会に米国の高配当ETFの中でも人気があるVYM・SPYD・HDVを比較して解説をしておこうと思います。
ということで今回は「2024年1月版のVYM/SPYD/HDV比較」についてです。
【この記事をみて分かること】
・高配当ETFとは
・基本情報
・運用会社
・株価比較
・組入れ銘柄とセクター比率
・配当比較
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高配当ETFとは
まずは高配当ETFがどんなものなのかを解説させていただきますのでおさらいも意味も含めて確認しておいて下さい。最初にですがETFから簡単に説明しますが「Exchange Traded Fund」の略で日本語では「上場投資信託」となり、分かりやすくいうと上場をしている投資信託となります。
【特徴】
1.S&P500などの株価指数に連動
2.分散投資が可能
3.株式同様にリアルタイム売買が可能
4.信託報酬が安い
5.配当支給が年4回ほどかつ高い配当率
また高配当ETFのことをより詳しく知りたい方は下記の記事もご覧下さい。
このようなメリットがある高配当ETFですがその中でもフォルダーが多い3つの高配当ETFの最新情報を比較して解説していきますね。
それでは「2024年1月現在のVYM・SPYD・HDV」を比較していきますね。
基本情報
ティッカー | VYM | SPYD | HDV |
名称 | バンガード・ハイディビデンド ・イールドETF | SPDR ポートフォリオ S&P 500 | iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF |
運用会社 | バンガード | ステイト・ストリート | ブラック・ロック |
ベンチマーク | FTSE ハイディビデンド イールド・インデック | S&P 500 高配当指数 | モーニングスター配当 フォーカス指数 |
銘柄数 | 449 | 77 | 81 |
投資対象 | 配当利回り 比較的高い大型株 | S&P 500の 高配当上位80銘柄 | 財務健全性と 配当利回りの高い企業 |
経費率 | 0.06% | 0.07% | 0.08% |
配当月 | 年4回 3/6/9/12月 | 年4回 3/6/9/12月 | 年4回 3/6/9/12月 |
直近配当 利回り | 3.94% | 5.55% | 3.82% |
設定日 | 2006年11月16日 | 2015年10月22日 | 2011年3月31日 |
■銘柄数
VYM:449銘柄
SPYD:77銘柄
HDV:81銘柄
圧倒的にですがVYMが分散できていますよね。SPYD・HDVはほぼ同様の銘柄数となっています。
■経費率
VYM:0.06%
SPYD:0.07%
HDV:0.08%
3つともに経費率は拮抗していますがその中でVYMが一番低い設定になっていました。さすが経費率にこだわりがあるバンガードのETFと言えるのではないでしょうか。
■配当利回り
VYM:3.94%(2022年12月データ 3.66% )
SPYD:5.55%(2022年12月データ 5.21% )
HDV:3.82%(2022年12月データ 4.48% )
上記はBloombergで2024年1月20日に確認したデータになりますがSPYDが圧倒的に高くなっていました。また2022年にも比較記事を出しましたがその際との比較も確認するとHDVが配当利回りが顕著に落ちているのが分かります。
運用会社
各社の規模と特徴を簡単に説明させていただきます。
■バンガード(VYM)
ペンシルベニア州に本社を置くバンガード・グループはアメリカ合衆国の登録投資顧問・資産運用会社。世界初のインデックス型投資信託(インデックスファンド)を個人投資家に提供していて2020年1月31日時点の運用総資産額は7.1兆米ドル(約765兆円)。
【特徴】
1番の特徴は経費率の安さで年々下がっている傾向があるので長期保有にも安心。
■ステート・ストリート(SPYD)
ボストンに本社を置く大手機関投資家向けグローバルカストディ (AUC/A 約5,400兆円) および資産運用機関 (AUM約540兆円) としては ブラックロックやバンガード・グループと並ぶ世界最大級のアメリカ系金融機関。
【特徴】
運用資産残高の世界第1位のETFであるSPYを運用していて米国国内で2番目に古い歴史を持つ金融機関。
■ブラック・ロック(HDV)
アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク市に本社を置く、世界最大の資産運用会社で2021年末における同社の運用資産残高(AUM)は10兆ドル(約1,153兆円)と日本のGDPの2倍に相当。世界30ヶ国・70のオフィスに合計18,000名超の従業員が在籍。日本ではブラックロック・ジャパン株式会社としてビジネスを展開しており、383名の社員が在籍している(2022年末時点)
【特徴】
世界第1位の運用資産額でETFの豊富なライナップが特徴で経費率については競合が多いETFは安くして、新興国など競合が少ないETFを高くしてバランスを取っている。
株価比較
まずはGoogleFinanceで直近1年の比較をしておこうと思います。
1年リターンでみるとVYMのみがプラスになっている結果になっていました。この点は長期保有で考える場合には検討材料になりそうですね。
それではそれぞれの2024年1月20日現在の株価とリターンもBloombergのデータでまとめておきます。
■VYM
【株価(2024年1月20日現在)】
111.62ドル
【トータルリターン】
3ヶ月:+8.18%
1年:+5.06%
3年:+8.55%
5年:+9.53%
■SPYD
【株価(2024年1月20日現在)】
38.47ドル
【トータルリターン】
3ヶ月:+10.95%
1年:-1.87%
3年:+7.81%
5年:+6.09%
■HDV
【株価(2024年1月20日現在)】
102.400ドル
【トータルリターン】
3ヶ月:+4.66%
1年:+2.01%
3年:+8.26%
5年:+7.13%
リターンでみておくと安定性があるのはVYMになるようですね。次にHDVですが分散を考慮するとVYMのほうが安心感はあるのではないでしょうか。
またSPYDはリターンにムラがある点は検討したうえでですが株価がとてもリーズナブルですのでその点はポイントになりそうですね。
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組入れ銘柄とセクター比率
あらためてですが各ETFの組入銘柄数をまとめておきます。
■銘柄数
VYM:449銘柄
SPYD:77銘柄
HDV:81銘柄
■上位10社の比較
VYM | SPYD | HDV | ||||
銘柄 | 比率 | 銘柄 | 比率 | 銘柄 | 比率 | |
1 | JPモルガン・チェース ・アンド・カンパニー | 3.48 | シーゲート・テクノロジー ホールディングス | 1.85 | エクソンモービル | 7.84 |
2 | ブロードコム | 3.41 | NRGエナジー | 1.75 | ジョンソン・エンド・ジョンソン | 6.22 |
3 | エクソンモービル | 2.87 | アムジェン | 1.69 | アッヴィ | 6.15 |
4 | ジョンソン・エンド・ジョンソン | 2.68 | IBM | 1.56 | ベライゾン・コミュニケーションズ | 5.97 |
5 | ホーム・デポ | 2.46 | フィリップス66 | 1.56 | シェブロン | 5.62 |
6 | プロクター・アンド ギャンブル | 2.45 | パッケージング・コープ オブ・アメリカ | 1.55 | メルク | 4.38 |
7 | メルク | 1.96 | フィフス・サード・バンコープ | 1.51 | フィリップ・モリス インターナショナル | 4.35 |
8 | アッヴィ | 1.94 | ベライゾン・コミュニケーションズ | 1.49 | コカ・コーラ | 3.91 |
9 | シェブロン | 1.77 | アッヴィ | 1.49 | ペプシコ | 3.66 |
10 | ペプシコ | 1.66 | サイモン・プロパティー・グループ | 1.48 | アルトリア・グループ | 3.58 |
どのETFをみても高配当で大手企業が組入上位にいる印象ですよね。この点では安定性が担保されていてかつ配当についても期待ができると捉えられるのではないでしょうか。
とはいえやはり分散という点で考えるとVYMが圧倒的な組入銘柄数になる点は忘れないでおいて下さいね。
■セクター比率
VYM | SPYD | HDV | ||||
セクター | 比率 | セクター | 比率 | セクター | 比率 | |
1 | 金融 | 21.50 | 金融 | 23.93 | ヘルスケア | 23.47 |
2 | 資本財 | 12.30 | 不動産 | 21.73 | エネルギー | 20.27 |
3 | 生活必需品 | 12.20 | 公益事業 | 14.69 | 生活必需品 | 17.96 |
4 | ヘルスケア | 11.70 | 素材 | 8.18 | 情報技術 | 9.79 |
5 | エネルギー | 9.90 | ヘルスケア | 7.06 | 公益事業 | 9.29 |
6 | 一般消費財 | 9.10 | エネルギー | 6.70 | 金融 | 7.55 |
7 | 情報技術 | 9.00 | 生活必需品 | 5.86 | 通信 | 6.27 |
8 | 公共事業 | 7.10 | 一般消費財 | 4.09 | 資本財 | 2.16 |
9 | 通信サービス | 4.80 | 情報技術 | 3.45 | 素材 | 2.14 |
10 | 素材 | 2.40 | 通信サービス | 2.96 | 一般消費財 | 0.72 |
【VYM】
・組入れは449銘柄と多くリスク分散がされている
・セクター比率はバランス重視で安定している
・上記2点から株価が安定していてボラが小さい
【SPYD】
・組入れは82銘柄とVYMと比べて少ない(リスク分散△)
・景気に敏感かつ配当重視のセクター比率
・上記2点からバラが激しいが配当が高い
【HDV】
・入れは81銘柄とVYMと比べて少ない(リスク分散△)
・景気に左右されず配当重視のセクター比率
・上記2点から株価安定かつ配当が高い
配当比較
VYM | SPYD | HDV | ||||
年度 | 配当金 | 利回り | 配当金 | 利回り | 配当金 | 利回り |
2023 | 3.48 | 3.12% | 1.83 | 4.66% | 3.89 | 3.82% |
2022 | 3.25 | 2.90% | 1.98 | 4.72% | 3.72 | 3.68% |
2021 | 3.10 | 3.38% | 1.55 | 4.70% | 3.51 | 4.00% |
2020 | 2.91 | 3.11% | 1.63 | 4.16% | 3.57 | 3.65% |
2019 | 2.84 | 3.64% | 1.75 | 5.13% | 3.21 | 3.80% |
2018 | 2.65 | 3.09% | 1.62 | 4.32% | 3.10 | 3.43% |
2017 | 2.40 | 3.17% | 1.42 | 4.08% | 2.95 | 3.59% |
2016 | 2.21 | 3.30% | 1.51 | 5.17% | 2.70 | 3.68% |
2015 | 2.15 | 3.13% | 2.88 | 3.76% | ||
2014 | 1.91 | 3.06% | 2.45 | 3.49% | ||
平均 | 2.60 | 3.20% | 1.66 | 4.61% | 3.20 | 3.68% |
【過去10年の平均配当利回り】
VYM:3.20%
SPYD:4.61%
HDV:3.68%
配当を重視されている方に関してはSPYDが一番に検討となるのではないでしょうか。またSPYDは株価の観点でも購入しやすい一方でボラが激しい点は考慮が必要になることは覚えておくといいかと思います。
VYM・HDVはボラが安定している一方でSPYDに比べると配当という観点では見劣りします。ご自身の重視しているポイントにあわせてご検討してみて下さいね。
比較(VYM/SPYD/HDV)のまとめ
ETFの参考動画・記事を出されているたぱぞうさんも同様に2022年9月3日に比較動画を出していたのでその中でのポイントもあわせてまとめとしてシェアしておきます。
■VYM
【ポイント】
・配当利回り:3つの中で一番低い
・株価:売買益を狙える安定型
・分散:銘柄数が多く分散可能
・経費率:低い
まとめ:ボラティリティがなく長期ホールドしやすい安定型
■たぱぞうさんのVYMまとめ
・分配金は安定を重視
・トータルリターンも欲しい
・金融やヘルスケアに期待
・クセのない商品が良い
ちなみにVYMの詳細はこちらの記事でまとめていますのであわせて読んでみて下さい。
■SPYD
【ポイント】
・配当利回り:3つの中で一番高い
・株価:変動が激しい
・分散:銘柄数は少ないが分散は可能
・経費率:低い
まとめ:ボラティリティが激しい一方で株価もリーズナブルで配当重視
■たぱぞうさんのSPYDまとめ
・分配金をすぐに使いたい
・追加投資、積立投資する
・トータルリターンも欲しい
・暴落時にたくさん買いたい
・不動産・公共事業に期待
ちなみにSPYDの詳細はこちらの記事でまとめていますのであわせて読んでみて下さい。
■HDV
【ポイント】
・配当利回り:3つの中で真ん中
・株価:売買益は狙いづらいが安定型
・分散:銘柄数は少ないが分散は可能
・経費率:低い
まとめ:ボラティリティがなくかつ配当も安定で長期ホールドしやすい
■たぱぞうさんのHDVまとめ
・エネルギーセクターに期待
・財務健全な企業に投資をしたい
ちなみにHDVの詳細はこちらの記事でまとめていますのであわせて読んでみて下さい。
それぞれにメリットとデメリットがある点はご理解いただけたのではないでしょうか。今回ご紹介した3つは新NISAの成長投資枠に該当するETFになります。大手証券会社(楽天・SBI・マネックス)がどこも取り扱いしてますのでぜひ非課税運用で資産拡大の参考にしていただければ幸いです。
ちなみに新NISAの成長投資枠でおすすめのETFはこちらの記事でまとめてありますのであわせて読んでみて下さいね。
最後まで読んでいただきましてありがとうございました!
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